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モチベーションを大切に — 動機を設計する人

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はじめに: 同じ仕事、異なるエネルギー

同じチームでほぼ同じ仕事をする二人の開発者がいます。一人は毎日疲れて見え、一人は同じ量の仕事をしながらも目が生きています。能力の差でも、仕事量の差でもありません。違いはモチベーション(motivation)にあります。

私たちはしばしば動機を「あるかないか」、生まれ持った気質のように扱います。「あの子はもともと意欲がある」。しかし動機は固定された性格ではなく、環境と解釈によって設計できるものです。良いリーダーは人々に動機を「注入」しようとはしません。代わりに、動機が育つ条件を設計します。

この記事は、自分自身とチームの動機を意志ではなく構造で扱う方法の話です。

内的動機の三つの柱: 自律、熟達、目的

心理学者エドワード・デシ(Edward Deci)とリチャード・ライアン(Richard Ryan)の自己決定理論(Self-Determination Theory)は、人間の内的動機が三つの基本的欲求から生まれると考えます。ダニエル・ピンク(Daniel Pink)はこれを大衆的な言葉で自律、熟達、目的と表しました。

この三つが満たされると、外から押されなくても人は自ら動きます。逆にこのうち一つでもひどく欠けると、いくら給料が上がっても仕事が次第に重くなります。

[内的動機の三つの柱]

      自律            熟達            目的
   「自分が決める」 「良くなっている」「意味がある」
       |               |               |
       +-------+-------+-------+-------+
                       |
                持続可能な動機
            (外の圧力なしでも動く)

外的報酬の限界

「成果給を上げれば動機が上がるのでは?」。部分的には正しいです。しかし外的報酬には明確な限界があります。

デシの有名な実験がこれを示します。パズルを楽しみで解いていた人々にお金を払い始め、その後報酬を止めると、報酬を受ける前よりむしろパズルへの興味を失いました。外的報酬が内的動機を押しのける現象で、「過剰正当化効果(overjustification effect)」と呼ばれます。「楽しみでやっていたこと」が「お金をもらってやること」と再解釈されると、報酬が消えればやる理由も消えます。

外的報酬が働く領域とそうでない領域を区別することが重要です。

仕事の種類外的報酬の効果より良い動機
単純・反復作業よく働く報酬で十分
創造・複雑作業むしろ逆効果も自律・熟達・目的
協力・ケア作業意味を損ないうる目的・関係

知識労働はほとんど二行目、三行目に属します。だからお金だけでは人を長く動かせません。お金は不満を取り除くことはできても(衛生要因)、それ自体で深い動機を作ることはできません。フレデリック・ハーズバーグ(Frederick Herzberg)の理論が言うことと通じます。

意味を見つけ、与える

目的は動機の最も強力な燃料ですが、最も見えない燃料でもあります。同じ仕事も、意味をどう与えるかによってまったく別の仕事になります。

有名な寓話があります。レンガを積む三人に何をしているか尋ねました。一人は「レンガを積んでいる」と言い、一人は「壁を作っている」と言い、一人は「大聖堂を建てている」と言いました。同じ手の動き、まったく違う動機です。

意味は大げさなビジョン宣言からだけ来るのではありません。もっと具体的で身近なところから来ます。

テレサ・アマビール(Teresa Amabile)の研究は、職場で動機を最も強く引き上げる単一の要因が「意味ある仕事における小さな進捗(progress)」だと言います。巨大な達成ではなく、毎日の小さな前進が動機を作ります。だから進捗を目に見えるようにすること自体が強力な動機設計です。

チームメンバーの動機を理解する

マネージャーや同僚として他人の動機を扱うとき最も多い間違いは、「自分が動機づけられる方法」を他人にそのまま適用することです。人によって動機の源泉は異なります。

最も良い方法は推測せず直接尋ねることです。一対一のミーティングで投げられる質問です。

- 最近仕事で最もエネルギーが出た瞬間はいつでしたか?
- 逆に最も気が抜けた瞬間は?
- どんな種類の仕事がもっとあればと思いますか?
- 半年後にどんなことをもっと得意になりたいですか?

この質問の答えがその人の動機の地図です。その地図に合わせて仕事を配置すれば、同じ仕事もはるかに少ない摩擦で回ります。

燃え尽きと動機

動機と燃え尽きはコインの裏表です。燃え尽きは単に「仕事をしすぎて」来るのではありません。クリスティーナ・マスラック(Christina Maslach)の研究は燃え尽きを三つの次元で説明します。消耗(exhaustion)、冷笑(cynicism)、効力感の低下(reduced efficacy)です。

興味深いのは、意味のない仕事を少しするより、意味ある仕事を多くするほうが疲れにくいということです。燃え尽きの核心は仕事の量よりも、コントロールの喪失、意味の喪失、公正さの欠如にあります。

燃え尽きの信号欠けているもの回復の方向
慢性疲労、消耗回復時間境界設定、休息
冷笑、距離取り目的、意味仕事の意味を再接続
無力感、効力感低下熟達、進捗小さな達成の回復

燃え尽きを意志力不足として扱うと悪化します。「もっと頑張れ」は消耗した人に最も有害な言葉です。燃え尽きは三つの柱のどれが崩れたかを診断し、その柱を復旧する方向で接近すべきです。

動機が下がったときの回復法

誰にでも動機が底をつく時期が来ます。そのとき「意欲が戻るのを待つ」のはたいてい効果がありません。動機は行動の原因であるだけでなく、結果でもあります。小さな行動が動機を再点火することが多いのです。

実践的な回復法を紹介します。

  1. 最も小さな単位に分ける。 「このプロジェクトを終えよう」ではなく「ちょうど15分だけ最初の段階に触れてみよう」。始める摩擦を最小化します。
  2. 進捗を記録する。 完了した小さなことを目に見えるように書いておきます。進捗の可視化が動機の燃料です。
  3. 自律の領域を取り戻す。 コントロールできない大きな絵ではなく、自分が決められる小さな選択を一つ見つけて行使します。
  4. 意味を再接続する。 この仕事が結局誰の役に立つのかを一文で書き直します。
  5. エネルギー源を点検する。 睡眠、運動、関係。動機は精神力だけの問題ではなく、体と回復の問題でもあります。

マネージャーの役割: 動機を注入せず条件を作れ

リーダーが陥りやすい罠は、動機を「演説で注入」しようとすることです。四半期ごとに情熱的なビジョン発表をしても、肝心の人々の自律が毎日踏みにじられ進捗が見えなければ、動機は育ちません。

マネージャーができる最も強力なことは、動機を蝕む要因を取り除くことです。

動機は「火をつけること」というより「火を消すものを片づけること」に近いものです。人々はおおむね意味ある仕事をうまくやりたいと思っています。その自然な動機を妨げる障害物を取り除くことがリーダーの仕事です。

事例: 雑務プロジェクトの再解釈

あるチームに誰もやりたがらない「レガシー整理」プロジェクトがありました。退屈で、目立たず、褒められにくい仕事でした。

マネージャーは報酬を増やす代わりに三つを変えました。第一に、どう整理するか方法をチームに完全に任せました(自律)。第二に、整理するたびに減る障害件数と速くなるビルド時間をダッシュボードで見せました(熟達・進捗)。第三に、この整理が次の四半期の新機能を速く作る土台だという大きな絵をつなげました(目的)。

同じ雑務が、同じ人々によって、まったく違うエネルギーで進みました。仕事自体は変わりませんでしたが、動機の条件が変わりました。

自己診断チェックリスト

[ ] 今の自分の仕事に自律(自分で決める)を感じる領域がある
[ ] 最近自分が何かに上達しているという感覚がある
[ ] 自分の仕事が結局誰の役に立つかを一文で言える
[ ] 進捗を目に見えるように記録している
[ ] 動機が下がったとき「待つ」より「小さく始める」を使う
[ ] (リーダーなら)メンバー各自の動機の源泉を直接尋ねて知っている
[ ] 燃え尽きの信号を意志ではなく崩れた柱の問題として診断する

事例その二: 自律を取り戻して燃え尽きから抜け出したエンジニア

あるシニアエンジニアが次第に無気力になっていきました。出社はするものの何にも気持ちが入らず、コードレビューには冷笑がにじみました。最初は本人もマネージャーもこれを「ただ疲れている状態」と見ていました。

詳しく見てみると、問題は仕事の量ではありませんでした。この一年間、彼が担ったすべての作業は、上から下りてきた仕様をそのまま実装することでした。アーキテクチャも、優先順位も、方法も決まった状態で届きました。彼が失ったのは自律でした。自分の仕事に対するどんな決定権も残っていませんでした。

回復は大げさではありませんでした。マネージャーは彼に一つを任せました。「このモジュールをどう改善するか、何が最も急ぐか、君が診断して計画を持ってきて」。範囲は小さくても、初めて彼が何をどうするかを自分で決める仕事でした。

興味深い変化が起きました。同じ人が、似た量の仕事をしているのに、目つきが変わったのです。自律が一つ戻ると、熟達と目的もついてきました。自分が決めた計画だからもっとうまくやりたくなり(熟達)、自分の診断が正しかったか確かめたくてユーザー指標を見るようになりました(目的)。

この事例の教訓は明確です。燃え尽きの解毒剤はしばしば「休息」ではなく「取り戻した制御感」です。もちろん十分な休息がまず必要な場合も多いです。しかし休んで戻っても同じく自律のない席なら、燃え尽きはすぐに再び訪れます。

事例その三: リオーグ後に目的が消えたチーム

うまく回っていたあるチームが、組織改編(reorg)の後に急激に崩れました。人もそのまま、技術スタックもそのままだったのに、六週間で雰囲気がまったく変わりました。

原因をたどると、手がかりは「距離」にありました。改編前、このチームは自分たちが作った機能を使う顧客と直接つながっていました。顧客のフィードバックがSlackにそのまま入り、どの会社が自分たちの機能のおかげで何を成し遂げたかを四半期ごとに聞いていました。改編後、このチームは「プラットフォーム共通コンポーネント」組織に再配置されました。仕事はより重要になりましたが、ユーザーが見えなくなりました。

彼らが作ったコンポーネントは別のチームが受け取って使い、そのチームが作った製品をまた別のチームが顧客に届けました。自分の仕事の終わりに人がいるという感覚が、二、三段階の抽象化の後ろに消えました。目的が欠乏したのです。

回復策は「距離を縮める」ことでした。マネージャーは四半期ごとに、自分たちのコンポーネントを使う社内チームを一つ招き、彼らが何を作り最終顧客がどう反応したかの発表を聞かせました。抽象的だった「プラットフォーム貢献」が再び具体的な顔を持ちました。

リオーグはしばしば効率のために、人と目的の間の視線を断ち切ります。構造を変えるとき、誰が誰のどんな問題を解決するかが依然として見えるかを必ず点検すべきです。

事例その四: スポットボーナスが内的動機を殺したマネージャー

良い意図を持ったマネージャーがいました。チームの士気を上げようと、印象的な仕事をした人にその場で少額の現金ボーナス(スポットボーナス)を与える制度を導入しました。最初の数週間は反応が良好でした。

ところが数か月後、微妙ながら明確な変化が現れました。人々が「ボーナスのかかった仕事」と「かかっていない仕事」を分け始めたのです。目立たない重要な基盤作業、同僚を静かに助ける仕事、ドキュメントを丁寧に残す仕事のような、ボーナスで報われない行動が減りました。あるメンバーは率直に言いました。「以前はただ良いコードを書きたかったのに、今は『これはボーナスに値するか』をまず考えるようになりました」。

これが過剰正当化効果の実戦版です。「うまくやりたくてやっていた仕事」が「報われるためにやる仕事」と再解釈され、報酬のない領域の内的動機が冷めてしまったのです。さらにボーナスをもらえなかった人々の間に微妙な不公正感が積もりました。誰かへの承認は、別の誰かにとっての比較になります。

マネージャーは制度を見直しました。即興的・競争的な現金ボーナスを減らし、代わりに具体的で誠実な承認(何を、なぜうまくやったかを言葉で指摘すること)と成長の機会へ移しました。報酬が悪いという意味ではありません。報酬が内的動機を押しのける形で設計されると危険だという意味です。

同じ一対一、異なる診断: 対話例

同じ状況でマネージャーのアプローチがどう分かれるか見てみましょう。あるメンバーが「最近仕事が面白くないんです」と言った一対一です。

[バージョンA — 診断しないマネージャー]

メンバー:  最近仕事がちょっと... 面白くないんです。意欲が出なくて。
マネージャー: 誰でもそういう時期はあるよ。もう少し頑張ってみよう。
            年末に良い評価をもらえば気分も晴れるよ。
メンバー:  ...はい、わかりました。
マネージャー: そう、もっと頑張ろう!

(メンバーの頭の中: 何が問題なのか誰も尋ねなかった。
 「もっと頑張れ」はすでに疲れた私にさらに負債を負わせる言葉だ。)


[バージョンB — 三つの柱を診断するマネージャー]

メンバー:  最近仕事がちょっと... 面白くないんです。意欲が出なくて。
マネージャー: 話してくれてありがとう。もう少し掘り下げてみますね。
            最近、まだしもエネルギーが出た瞬間はありましたか?
メンバー:  うーん... この前あのキャッシュ構造を自分で設計したときは
            ちょっと面白かったです。
マネージャー: あのときは方法を自分で決めましたね。逆に今の仕事は?
メンバー:  ほとんど決まった通りに実装するだけです。決めることがない。
マネージャー: では自律のほうが空いているようですね。熟達はどうですか?
            最近新しく学んだり、上達したことは?
メンバー:  特には。同じパターンの繰り返しという感じです。
マネージャー: いいですね、二つ見えました。次のスプリントで設計判断が
            必要な作業を一つ任せます。そして四半期で学びたい領域を
            一つ決めて、そこに時間を割けるよう一緒に組みましょう。
メンバー:  そうしてもらえるなら... はい、やってみたいです。

違いは「共感したか」ではありません。バージョンBのマネージャーは漠然とした慰めの代わりに、三つの柱のどれが空いているかを具体的に指摘しました。動機の問題は診断可能な問題です。「もっと頑張れ」は診断ではなく責任転嫁です。

動機を殺すマネージャー vs 生かすマネージャー

同じ意図でも、行動の質感が違えば正反対の結果を生みます。

状況動機を殺すマネージャー動機を生かすマネージャー
仕事を任せるとき方法まで指定して下ろす目標を与え方法は任せる
ミスが起きたとき誰のせいかをまず問う何を学んだかをまず問う
良い結果が出たとき結果だけ褒めて流す何をなぜうまくやったか指摘
疲れが見えるときもっと頑張れと圧をかけるどの柱が空いたか診断する
意味を伝えるとき大げさなビジョンを繰り返す仕事と実際のユーザーをつなぐ
報酬を与えるとき競争と比較を煽る公正さと誠実さを整える
会議を入れるとき自分の安心のため頻繁に呼ぶ自律のため会議を減らす

核心は一行で要約できます。動機を殺すマネージャーは制御で安心を買い、生かすマネージャーは信頼で動機を育てます。

衛生要因 vs 動機要因 (ハーズバーグ)

ハーズバーグの核心的洞察は、不満を取り除く要因と満足を作る要因が別々の軸にあるということです。つまり衛生要因をいくら整えても、それだけでは深い動機は生まれません。ただし衛生要因が崩れると、動機要因がいくら良くても急速に蝕まれます。

区分衛生要因 (なければ不満)動機要因 (あれば満足)
本質不満を予防する積極的な動機を作る
給与・福利公正な報酬、安定それ自体は動機でない
仕事の性格合理的な業務量挑戦と成長の機会
関係無礼でない環境承認と信頼
決定権最低限の予測可能性自律と責任
結果満たしても現状維持満たせばエネルギー上昇

実務的含意はこうです。衛生要因は「床」で、動機要因は「天井」です。床が抜ければ(不当な給与、無礼な文化)何をしても無駄なので、まず床を固める必要があります。しかし床ばかり補強しても天井は高くなりません。ある時点からは自律・熟達・目的という動機要因へ移る必要があります。

実践ツール: 動機回復プロトコル

動機が下がったとき漠然と耐える代わりに、順番に点検できるプロトコルを提案します。自分にも、メンバーとの対話にも使えます。

[動機回復プロトコル — 5ステップ]

ステップ1. 止まって名前をつける
   - 「意欲がない」をもっと具体的に分ける。
   - 消耗か(疲れた)、冷笑か(意味がない)、
     無力か(良くならない)?

ステップ2. どの柱が空いたか診断する
   - 自律: 自分が決められるものがあるか?
   - 熟達: 上達しているという感覚があるか?
   - 目的: この仕事の終わりに誰がいるか見えるか?

ステップ3. 最も空いた柱を一つだけ選ぶ
   - 三つを一度に直そうとしない。
   - 最も欠乏した一つに集中する。

ステップ4. その柱を満たす最も小さな行動
   - 自律の欠乏 → 自分が決める小さな選択を一つ行使
   - 熟達の欠乏 → 15分の学習/練習の一かけら
   - 目的の欠乏 → ユーザー/同僚一人と直接つながる

ステップ5. 進捗を記録し一週間後に再び見る
   - 動機は結果でもある。小さな行動 → 記録 →
     点火。一週間後、同じ診断を繰り返す。

このプロトコルの力は、「動機が出ない」という漠然とした状態を診断可能な問題に変えることにあります。漠然さは無力感を育て、具体性は行動を呼びます。

平凡な仕事に自律・熟達・目的を設計して組み込む

すべての仕事が最初から意味で輝くわけではありません。しかしほとんどの平凡な仕事にも、三つの柱を意識的に植える余地があります。具体的な例で見てみましょう。

[例1] 反復的なバグ修正キューの処理

  自律を植える:
    「このキューをどの順序で、どの基準で
     処理するか君が決めていい」
  熟達を植える:
    「似たバグが繰り返されたらパターンを抽出し、
     再発防止策を設計してみよう」
  目的を植える:
    「これらのバグが実際にどのユーザーのどんな
     瞬間を台無しにしていたか一行で書こう」

[例2] 退屈なドキュメント作業

  自律: ドキュメントの構造と形式を自分で
        設計させる。
  熟達: 「他人が読んですぐ理解する文章」という
        技術として扱う — 測定し改善する。
  目的: このドキュメントが半年後に加わる新人の
        最初の一週間をどう変えるか想像させる。

[例3] オンコール / 運用当番

  自律: 対応手順(runbook)を自分で改善する
        権限を与える。
  熟達: 障害振り返りで学んだことを次の設計に
        反映するループを作る。
  目的: 「自分が守った安定性」が誰の信頼を
        守ったかを事後につなげる。

要点は、仕事そのものを変えなくても動機の条件を変えられるということです。雑務をなくせなくても、雑務を解釈する枠は設計できます。

一対一ミーティング質問バンク (柱別)

推測の代わりに尋ねるための質問集です。三つの柱と状態点検でまとめました。毎回すべて尋ねず、その日に必要な一つ二つを選んでください。

[自律を点検する質問]
- 今の仕事で直接決められるのは何ですか?
- もっと持ちたい決定があれば何ですか?
- 逆に、自律が足りないと感じる領域は?
- 私がもっと口を出さないでほしい部分はありますか?

[熟達を点検する質問]
- 最近新しく学んだり上達したことはありますか?
- 半年後にどんな能力を備えたいですか?
- 今の仕事はその成長に役立っていますか?
- 挑戦が易しすぎたり、重すぎたりしませんか?

[目的を点検する質問]
- 今の仕事は結局誰に届くと感じますか?
- 仕事とユーザーの距離が遠く感じますか?
- どんな仕事をするとき「これは意味がある」と感じますか?
- 我々のチームの仕事で誇らしい部分は何ですか?

[状態とエネルギーを点検する質問]
- 最近エネルギーは10点満点で何点ですか?
- 最近最もエネルギーが出た/抜けた瞬間は?
- 仕事の外の回復(睡眠、運動、休み)は十分ですか?
- 私が手伝える、今最大の摩擦は何ですか?

良い質問の共通点は「はい/いいえ」で閉じないことです。答えを聞いて一段深く入る後続の質問が、本当の動機の地図を描きます。

よくある質問 (FAQ)

Q. 成果給は本当に逆効果ですか?

いいえ、状況によります。単純・反復作業では成果給はよく働きます。また報酬が「公正さ」の信号であるとき(同じ仕事に同じ対価)は衛生要因を満たすので必要です。問題は創造的・自発的な仕事に報酬を「ニンジン」としてつなぐときです。このとき「楽しみでやっていた仕事」が「お金をもらう仕事」と再解釈され、内的動機が冷めることがあります。つまり成果給そのものではなく、それを内的動機の領域に条件付きのニンジンとしてつける設計が危険なのです。

Q. 面白くない仕事はどう動機づけますか?

仕事そのものを面白くできないときも、動機の条件は設計できます。自律(方法を任せる)、熟達(反復からパターンと技術を抽出する)、目的(この仕事の終わりにいる人を見えるようにする)のどれか一つでも加えれば、同じ仕事の重さが変わります。上の「平凡な仕事に三つの柱を設計する」セクションの例が出発点です。それでもだめな仕事は正直に認め、公正な報酬と明確な終わり(いつまで)を約束するのが誠実です。

Q. 燃え尽きと単なる疲労の違いは何ですか?

疲労は休めば回復します。週末を過ごし眠れば再びエネルギーが満ちます。燃え尽きは休んでもうまく戻らず、消耗に加えて冷笑(仕事への距離取り)と効力感の低下(いくらやってもだめという感覚)が一緒に来ます。核心的な区別は「回復の弾力性」です。休んだ後も仕事への冷笑がそのままなら単なる疲労ではありません。そのときは休息だけでは足りず、崩れた柱(特に制御感と意味)を復旧する必要があります。

Q. メンバーが「私、動機がないんです」と率直に言ったらどうしますか?

まずそう言ってくれたことに感謝してください。それは信頼の信号であり、問題行動ではありません。「もっと頑張れ」で受けず、上の一対一の質問でどの柱が空いたかを一緒に診断してください。動機のなさは怠惰ではなく、たいてい欠乏の症状です。そして率直に言った人が不利益を受けないことを行動で示してください。一度「言わなければよかった」という学習が生まれると、次から誰も真実を言わなくなります。

Q. 動機は結局個人の責任ではないですか?

半分だけ正しいです。自分の動機を世話することには確かに個人の分があります。回復ルーティン、エネルギー管理、意味の再接続は自分でやるべきです。しかし自律を毎日踏みにじり、進捗を見えなくし、目的との距離を断つ環境で「動機は君の責任」と言うのは責任転嫁です。動機は個人と環境の相互作用です。リーダーが環境を設計しなければ、最も意欲的な人さえ冷めます。

反対の視点: 動機設計の限界と危険

バランスのために、反対側も正直に見るべきです。動機設計は万能ではなく、誤って使えばそれ自体が害になります。

意味の強要(forced purpose)の罠。 「我々の仕事は世界を変える」を反復的に注入することは、しばしば逆効果を生みます。人々は強要された意味をすぐに見抜きます。単純な清掃用品の会社が従業員に「あなたは使命を遂行中だ」と誇張すれば、真正性のないスローガンはむしろ冷笑を育てます。意味は膨らませるものではなく、正直につなぐものです。小さくても本物のつながりが、巨大でも偽物のビジョンより強いのです。

有害なポジティブさ(toxic positivity)。 「ポジティブに考えて」「感謝の気持ちを持って」が本当の問題を覆うために使われると危険です。不当な業務量、壊れたプロセス、不公正な報酬という構造的な問題を「マインドセット」に転嫁するのは、動機設計ではなく責任回避です。動機の話が構造改善を先送りする言い訳になってはいけません。

外的報酬が正しい道具であるとき。 すべての外的報酬が悪いわけではありません。単純・反復作業、危険または不快な仕事、本質的に楽しみを期待しにくい仕事では、明確で公正な外的報酬が最も誠実な動機づけです。こうした仕事に無理やり「意味」をまとわせようとすることが、かえって人を馬鹿にすることになりかねません。

動機設計の限界。 ある時期にはただ耐えるしかありません。締め切り直前の過酷な区間、会社の厳しい時期、個人的につらい季節。このとき必要なのはインスピレーションを与える演説ではなく、終わりが見える明確さと正直な認め(「今はつらい区間で、いつまでです」)です。動機設計は常に良い気分を保証する技術ではなく、人が仕事に正直につながる条件を作ることに近いのです。

おわりに: 動機は設計の対象だ

動機を大切にするとは、それを運や気質に任せず、設計の対象とするということです。自律、熟達、目的という三つの柱を、自分の仕事とチームの仕事にどう植えるかを意識的に問うことです。

もちろん、すべての仕事が常に意味で輝けるわけではありません。ある時期にはただ耐える区間もあり、外的報酬が正当で必要な瞬間もあります。動機の設計がすべての困難を魔法のように消してくれるわけではありません。バランスの取れた視点が必要です。

それでも、同じ仕事を二人がまったく違うエネルギーでするという事実は、明確な可能性を指しています。動機は与えられるものではなく、作っていけるものです。自分の動機を、そして共に働く人々の動機を設計する人になること。それが長く遠くまで行く仕事とチームの、最も頼もしい土台です。

参考資料

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