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DevOps PaaSプラットフォーム 2026 — Vercel / Fly.io / Render / Railway / Coolify / Dokploy / Kamal 徹底比較

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プロローグ — Herokuが去った跡に14のPaaSが育った

2007年、Herokuが「git pushでデプロイ」を披露したとき、それは魔法のように見えた。git push heroku main の一行がRailsアプリをインターネットへ送り、それがPaaSの定義となった。

そして2022年11月、Salesforce傘下のHerokuが無料枠を廃止した。この出来事が2026年のPaaS風景を作った。サイドプロジェクトを失った開発者たちが四方に散り、その跡地に14のPaaSが育った。

2026年5月現在の風景はこうだ:

本稿は14のプラットフォームを一気に比較する。誰が何を選ぶべきかまで答える。


1章 · 2026年のPaaS地図 — マネージド / OSSセルフホスティング / VPS上の自前PaaSという三軸

PaaSを一行で定義するなら「コードをgit pushすればインターネットで動く」だ。だが2026年のPaaSはその一行の裏で三つに分かれる。

1.1 三つの軸

軸1 — マネージドクラウドPaaS。 Vercel・Fly・Render・Railway・Cloudflare・Netlify・Heroku・Northflank・Sevalla。カードを登録すれば心配ごとは消える。インフラが見えなくなる。代わりに月の使用量が請求書として戻ってくる。

軸2 — OSSセルフホスティングPaaS。 Coolify・Dokploy・Caprover・Easypanel。VPS一台(Hetzner・DigitalOcean・OVH・Vultr)にインストールすれば、その上でVercelに似た体験が回る。インフラコストはVPS料金だけ。バックアップ・監視・セキュリティパッチは自分の責任。

軸3 — VPS上の自前PaaS / 軽量コンテナオーケストレーター。 Kamal 2。PaaSではなく「自分が選んだサーバーへコンテナを綺麗にデプロイする道具」だ。37signalsがDHHの手で作り、Rails 7.2からはデフォルトのデプロイツールだ。

1.2 コスト対コントロールのマトリクス

                 コントロール ↑
                    |
    Kamal 2 ────────|──────── Coolify / Dokploy
    (VPSを直接運用)  |        (OSSセルフホスティング)
                    |
    ────────────────+────────────────  コスト →
                    |
    Heroku / Render |        Vercel / Cloudflare
    (古典的PaaS)    |        (エッジ・サーバーレス)
                    |
                 コントロール ↓

横軸は月のコスト、縦軸はインフラ管理権限。左上は安いが全部自分でやる。右下はカード一枚で全てが回る。

2022年のHeroku無料廃止以降、サイドプロジェクトの重心は左上に移った。 月5ドルのHetzner VPSにCoolifyを入れれば、5つのプロジェクトを一度に回せる。これが2026年の新しいデフォルトだ。

1.3 Gitドリブンデプロイ — みんなが共有する標準

三軸の全プラットフォームが共有する一つがある。Git pushがデプロイそのものだ。

Vercelが2017年に標準化したこの流れが、2026年にはセルフホスティングPaaSのデフォルトまで降りてきた。Coolify・Dokploy・CaproverはどれもGitHub Webhookをサポートし、プレビュー環境機能を備える。


2章 · Vercel — Next.jsの家、Fluid Computeの発明者

2026年のVercelは二つを同時にやる。Next.jsの家であり、Fluid Computeでサーバーレスのパラダイムを再定義した。

2.1 Fluid Compute — コールドスタートを終わらせたモデル

2024年8月にVercelが発表した Fluid Compute は一言でいうと「一つのインスタンスが複数のリクエストを同時に処理する」だ。

従来のAWS Lambda / Vercel Functionsモデルは:

Fluid Computeモデルは:

特に AI/LLMバックエンド で輝く。ChatGPT/Anthropic APIを呼びながら90%の時間をネットワーク待ちに使うなら、その待ち時間を他のリクエストが使う。同じトラフィックを処理するコストがおよそ1/3になる、というのがVercelの主張で、実測でも似た値が出る。

2.2 Vercelの強み

2.3 Vercelの弱み

2.4 誰が選ぶべきか

避けるべき場合: 24時間動くデーモン、5GBの機械学習モデルのサービング、コスト上限が明確なサイドプロジェクト。


3章 · Fly.io — マルチリージョン+ベアメタル親和

Fly.ioの一行要約は「あなたのDockerイメージを30都市に同時起動する」だ。Vercel・Renderと決定的に違うのは Fly Machines — Firecracker microVMベースのコンテナが実際の物理サーバーの近くで走る、という点だ。

3.1 マルチリージョンモデル

Flyにアプリをデプロイすると、fly.toml にリージョンリストを書く。

app = "my-app"
primary_region = "nrt"

[build]
  image = "ghcr.io/me/app:latest"

[[regions]]
  code = "nrt"
[[regions]]
  code = "iad"
[[regions]]
  code = "fra"

この一度の設定で東京・バージニア・フランクフルトに同時にインスタンスが立つ。トラフィックは最寄りのリージョンへルーティングされる。Postgresが必要なら fly pg create でマルチリージョンPostgres(WALレプリケーション)が立つ。

3.2 Flyの強み

3.3 Flyの弱み

3.4 誰が選ぶべきか


4章 · Render — Heroku代替の正解

Renderは2026年現在 「最もHerokuらしい新PaaS」 だ。2019年創業、2022年シリーズB 5000万ドル、2025年シリーズCで本格的なエンタープライズへ。

4.1 Renderのモデル

render.yaml(Render Blueprint)一つでインフラ全体をコードとして宣言できる。Herokuの app.json が進化した形に近い。

services:
  - type: web
    name: api
    runtime: docker
    dockerfilePath: ./Dockerfile
    envVars:
      - key: DATABASE_URL
        fromDatabase:
          name: api-db
          property: connectionString

databases:
  - name: api-db
    databaseName: api
    plan: standard

4.2 Renderの強み

4.3 Renderの弱み

4.4 誰が選ぶべきか


5章 · Railway — 使いやすさの強者、2024年シリーズB再調達

Railwayは使いやすさだけで愛される。2024年5月にシリーズB 2000万ドルを調達し「PaaSは死んでいない」を証明した。

5.1 Railwayのモデル

5.2 Railwayの強み

5.3 Railwayの弱み

5.4 誰が選ぶべきか


6章 · Cloudflare Pages + Workers + R2 — フルスタックエッジの完成

CloudflareはPaaS市場へ最も遅く、そして最も違うモデルで入ってきた。2026年のCloudflareスタックは フルスタックエッジ と呼べる。

6.1 Cloudflareスタックの構成

6.2 Cloudflareの強み

6.3 Cloudflareの弱み

6.4 誰が選ぶべきか


7章 · Netlify — JAMstackの先駆者、コンポーザブルなフルスタックへ

Netlifyは2014年にJAMstackを命名した会社だ。2026年のNetlifyはそのアイデンティティにフルスタック機能を加える。

7.1 Netlifyの現在

7.2 Netlifyの強み

7.3 Netlifyの弱み

7.4 誰が選ぶべきか


8章 · Coolify(OSS)— セルフホスティングのVercel

Coolifyは2026年、OSSセルフホスティングPaaSの事実上の標準になった。2024年のシードラウンドでフルタイム開発が始まり、GitHubスターは4万を超えた。

8.1 Coolifyのモデル

8.2 Coolifyの強み

8.3 Coolifyの弱み

8.4 誰が選ぶべきか


9章 · Dokploy(OSS)— Coolify対抗馬

Dokployは2024年に登場したCoolifyの対抗馬だ。2026年5月時点でGitHubスターは2万を超え、「Coolifyが重く感じた人々」が集まる。

9.1 Dokploy対Coolify

項目CoolifyDokploy
初登場20202024
GitHubスター(2026.05)40k+20k+
コア言語PHP(Laravel)TypeScript(Next.js)
データベースPostgresPostgres
リバースプロキシTraefikTraefik
マルチサーバーベータ正式
価格無料 / クラウド無料 / クラウド

Dokployはマルチサーバーサポートが正式機能で入った点が差別化要素だ。Coolifyはマルチノードをベータに据えている。

9.2 誰が選ぶべきか


10章 · Kamal 2(37signals)— 自分のサーバーへデプロイ

KamalはPaaSではない。コンテナデプロイツール だ。37signals(Basecamp・Hey)がAWSを離れる中で作った道具で、2024年にKamal 2が出た。

10.1 Kamalの哲学

10.2 deploy.yml の例

service: hey
image: 37signals/hey

servers:
  web:
    - 192.168.0.1
    - 192.168.0.2
  job:
    hosts:
      - 192.168.0.3
    cmd: bin/jobs

registry:
  server: ghcr.io
  username: my-org
  password:
    - KAMAL_REGISTRY_PASSWORD

env:
  secret:
    - RAILS_MASTER_KEY
    - DATABASE_URL

この一つのファイルで kamal setupkamal deploy が可能だ。

10.3 Kamalの強み

10.4 Kamalの弱み

10.5 誰が選ぶべきか


11章 · Northflank / Sevalla / Caprover / Easypanel — その他のPaaS

11.1 Northflank — Kubernetes PaaSの頂点

Northflankは「KubernetesをPaaSのUXで包む」が最もうまくできているプラットフォームだ。2026年現在、マネージドPaaSカテゴリで最も重いワークロードを受ける一つ。

対象: コンテナ30個以上・複雑なマイクロサービス・企業コンプライアンスが必要なチーム。

11.2 Sevalla — Kinstaの新PaaS

SevallaはマネージドWordPressホスティングで有名なKinstaが2024年にリリースした新PaaSだ。Google Cloud上に作られ、「Vercel・Renderの隙間」を狙う。

対象: WordPress・LaravelなどPHP・Nodeを幅広く運用するエージェンシー。

11.3 Caprover — 最も古いセルフホスティングPaaS

Caproverは2017年登場。Docker Swarmベース。Coolifyが現れる前まではセルフホスティングPaaSの標準だった。今もGitHubスター13k+、安定して動く。

対象: 昔から使ってきた人・Docker Swarmをあえて使うチーム。

11.4 Easypanel — 軽量セルフホスティング

Easypanelは2022年登場。Docker Composeベース。Coolifyより軽く、UIがクリーン。

対象: 1台のVPSで3〜5アプリをきれいに回したい1人開発者。


12章 · Heroku — 一時代を過ぎた巨人

Herokuは2026年現在もまだ生きている。2022年の無料廃止でユーザーを失ったが、エンタープライズSalesforce顧客ベースの上で動いている。2025年にはIBMがHeroku買収を検討中という報道が出たが、2026年5月現在、確定発表はない。

12.1 Herokuの現在

12.2 Herokuの価値

12.3 新しく始めるなら?

新しいサイドプロジェクトをHerokuに入れるなら、それはノスタルジーだ。Render・Railway・Coolifyが同じことをより安くより良くやる。ただし職場で既にHerokuを使っているなら、過去の判断が間違っていたとは限らない。


13章 · 韓国・日本 — Kakao i Cloud, Naver NCP, さくら, KAGOYA, ConoHa

グローバルPaaSが全てではない。韓国と日本には独自のPaaS・VPSエコシステムがある。

13.1 韓国 — Kakao i Cloud / Naver NCP

韓国スタートアップがマネージドPaaSを使うなら、グローバルユーザーベースを持つ場合はVercel・Render・Flyが先、韓国内部ユーザー中心ならNaver NCP・Kakao i Cloudが効率的。

13.2 日本 — さくら・KAGOYA・ConoHa・Heroku Japan

日本の開発者のサイドプロジェクトの流れは「KAGOYA・ConoHa VPS + Coolify・Dokploy」が2026年の新標準になった。


14章 · 誰が何を選ぶべきか — サイドプロジェクト / スタートアップ / グローバル / コスト重視

14.1 サイドプロジェクト

14.2 初期スタートアップ(シード段階)

14.3 シリーズA〜Bスタートアップ

14.4 グローバルユーザー / エッジ

14.5 コスト重視(1人開発者 / ブートストラップ)

この組み合わせなら月10ドル以内で5〜20プロジェクトが回る。2026年のブートストラッパー標準。

14.6 韓国・日本のローカルユーザー中心


15章 · 決定木 — 30秒で選ぶ

サイドプロジェクト? 月0〜5ドル?
├── Next.jsだけ → Vercel Hobby
├── フルスタック+DB → Railway(使用量ベース)
├── 5個以上 → Hetzner + Coolify
└── 静的+エッジ → Cloudflare Pages

スタートアップMVP? 月20〜100ドル?
├── Next.js → Vercel Pro + Neon
├── Rails/Django → Render
├── マルチリージョン → Fly.io
└── コスト最優先 → Coolify on Hetzner + Cloudflare

成長期? 月500ドル以上?
├── そのまま続けて分離を始める
├── DBはマネージド外部(Neon / Supabase / PlanetScale)
├── 可観測性はDatadog / Grafana / Axiom
└── CDN/WAFはCloudflare

エンタープライズ?
├── 自社クラウドBYOC → Northflank
├── 自社データセンター → Kamal 2 + 自社K8s
└── コンプライアンス → AWS/Azure/GCP直接

参考 / References

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