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スプレッドシート / データベース代替 2026 — Airtable・NocoDB・Baserow・Grist・Rows・Coda・SeaTable・AppFlowy・Teable・Equals・Sigma・kintone 徹底比較

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プロローグ — なぜ私たちはまたスプレッドシートに戻ってくるのか

2026年でも、会社の仕事はほぼすべて一枚の表から始まる。プロダクトのロードマップ、採用パイプライン、経費精算、コンテンツカレンダー、在庫、カスタマーサポートのトラッカー — 誰かは Notion で、誰かは Airtable で、誰かは Excel でやっている。そして 1 年も経つと必ず「これ重くなった」か「これ高くなった」のどちらかが聞こえる。

この記事はその風景を地図化する。2026年現在の「スプレッドシートに見えるがデータベースとして動く」ツール群を、誰が何を得意としていて何が苦手か、どんな状況で何を選ぶべきかまで通しで見る。

大きな変化は 3 つ。

この記事は 12–14 章でこの全体像を見る。来期、チームで何を残し何を捨てるかを決めるときに使えるように書いた。


第 1 章 · 2026年のスプレッドシート代替地図 — 3 陣営

ツールを一列に並べても比較できない。まず 3 陣営に分けよう。

陣営コアモデル代表ツール
リレーショナル(Airtable モデル)テーブル + リンクフィールド + ビューAirtable、NocoDB、Baserow、Teable、SeaTable
Excel 互換 / 数式優先セルグリッド + 数式Excel、Google Sheets、Grist(Python)、Smartsheet、Rows
ハイブリッド / AI ファースト / 分析ドキュメント/SQL/AI 結合Coda、AppFlowy、Equals、Sigma Computing、Numeric

この分類は完璧ではない。たとえば Rows は「Excel 互換」だが AI 前提なので 3 陣営どこにも掛かる。Coda は「ドキュメント + 表」で 1・2・3 のどこにも少しずつ触れる。それでもこの 3 陣営を頭に置きながらツールを見ると差が分かる。

リレーショナル陣営の核は「テーブル間のリンク」。顧客テーブルの 1 行が注文テーブルの複数行とつながり、その注文が製品テーブルの 1 行とつながる。SQL の外部キーと JOIN をクリックでやる。1995年の FileMaker 時代からあるモデルだが、2012年に Airtable が Web に持ち込んで再ブレイクした。

Excel 互換陣営の核は「セル = 数式 = 結果」。A1・B1 のセル参照、SUM・VLOOKUP・INDEX/MATCH の 30 年分の筋肉記憶。会計・財務・研究 — セルに慣れた人は絶対に離れられない。

ハイブリッド/分析陣営はもっと野心的。「ドキュメントの中に表があり、表がチャートとして描画され、AI が空欄を埋める」。Coda、Rows、Sigma、Equals がそれぞれ違う角度から攻めている。

2026年のトレンドは 3 陣営が互いの領域に侵食している こと。Airtable が AI を載せ、Excel がリレーショナル風の Data Types を入れ、Sigma が BigQuery の上でセル数式を動かす。「スプレッドシートか DB か BI か」の境界が薄れている。


第 2 章 · Airtable — リーダーの座、しかし料金論争

Airtable は 2012年創業、2021年のシリーズ F で 110 億ドル評価。このカテゴリの事実上の定義者。「スプレッドシートのように使うデータベース」という表現自体が Airtable から来た、と言ってもいい。

なぜ Airtable がリーダーになったか。 3 つの決定が効いた。

  1. リンクされたレコード(Linked records)。 他のテーブルの行をセルにドラッグする。SQL 外部キーをワンクリックで作った。
  2. ビュー(Views)。 同じテーブルを Grid・Kanban・Calendar・Gallery・Gantt に切り替える。「一つのデータ、複数のビュー」の標準を確立した。
  3. オートメーション + 統合。 Slack・Gmail・Stripe・Salesforce に幅広く接続し、自前のオートメーションビルダーがある。

2026年の料金論争。 問題は料金。2024年から Airtable は段階的に値上げし、AI 機能を Business/Enterprise だけに開放した。Free プランはレコード 1,000 件まで(2024年初までは 1,200 件)、Pro はユーザーあたり月 24 ドル、Business はユーザーあたり月 54 ドルから(2026年 5 月時点)。AI(Airtable AI / Cobuilder)は事実上 Enterprise でのみ無制限。

この料金政策が小規模チームと OSS 寄りのチームを積極的に追い出している。その空席を埋めたのが NocoDB、Baserow、Teable。

それでも Airtable の強み。 大規模顧客(SaaS、メディア、製造業)では ecosystem の深さが圧倒的。Marketplace アプリは 1,500 以上、Sync(他のベース/Salesforce/HubSpot からのデータ取り込み)、Interface Designer(アプリのように見える画面)、Cobuilder(AI でベースを作ってくれる機能)が堅い。「金曜までに内部ツールが必要」というユースケースでは依然として最強。

Airtable を選ぶとき。


第 3 章 · NocoDB(オープンソース) — Airtable 代替の最強

NocoDB はインド/SF 拠点の会社が作る OSS Airtable 代替。AGPL-3 ライセンス、GitHub スター 5 万超。2023年にシリーズ A(約 1,070 万ドル、OSS Capital ほか)、2024–2025年に SaaS ホスティングの NocoDB Cloud を本格化した。

コア差別化要因。 NocoDB は最初から「既存 DB の上に乗る no-code」を掲げる。MySQL・PostgreSQL・SQL Server・SQLite — 既存データベースをそのまま指して、その上に Airtable ライクな UI を被せる。新規データも、バックエンドは本物の SQL。

これが 2 つを可能にする。

機能。 Grid・Kanban・Form・Gallery・Calendar・Map ビュー、数式フィールド、オートメーション(Webhook/Slack/Email)、API(REST と GraphQL)、コラボレーション、ロールベース権限。Airtable のコア機能の 80% 程度をカバー。

弱点。 UI の磨き込みと統合 ecosystem は Airtable より薄い。Interface Designer レベルの「アプリビルダー」はまだ弱く、Marketplace アプリはない。AI は段階的に入ってきているが Airtable Cobuilder ほど滑らかではない。

NocoDB を選ぶとき。


第 4 章 · Baserow(オープンソース) — ドイツの会社

Baserow はオランダ/ドイツ拠点の OSS Airtable 代替。MIT ライセンス(コア)+ 商用ライセンス(エンタープライズ機能)モデル。Postgres を自分のデータストアとして使い、NocoDB と違って自前のスキーマで動く。

哲学の違い。 NocoDB が「既存 DB の上のアドミン UI」なら、Baserow は「独立した Airtable リプレースメント」に近い。よく一緒に比較されるが、使い方が違う。

機能。 Grid・Form・Kanban・Gallery・Calendar ビュー、数式フィールド、オートメーション、API、コラボレーション。Application Builder で「データの上にフォーム駆動のアプリ」を作れる(Airtable Interface Designer と同種の路線)。

セルフホスト親和。 Docker Compose 一行で自分のサーバーで動く。会社のドキュメントが明快で、Helm chart もある。EU/GDPR フレンドリーな会社なのでヨーロッパ企業が好む。

Cloud 料金。 Premium プランがユーザーあたり月 5 ドルから(2026年基準)。Airtable の 1/4 水準なので、料金圧の高いチームに魅力的。

弱点。 統合 ecosystem とオートメーションビルダーは Airtable より薄い。Marketplace はまだない。AI は入ってきているが Coda/Rows 級ではない。

Baserow を選ぶとき。


第 5 章 · Grist(オープンソース) — Python 数式

Grist はちょっと違う質感のツール。2018年創業、2022年からコアを OSS 化(AGPL-3)、2024年に Code for Science & Society という非営利の財政スポンサーシップ下に入り、「財政的に独立した OSS プロジェクト」になった(営利会社形態は維持)。

コア差別化要因は Python 数式。 セルの数式に Excel 関数ではなく Python を書く。

# Grist の数式フィールド例
# Orders テーブルの customer 列が指す Customer 行
$customer.name

# 集計
sum(o.amount for o in Orders.lookupRecords(customer=$id))

# 条件
"VIP" if $total_spent > 10000 else "Regular"

Excel 数式が一行で終わらないといけないとすれば、Grist は Python の式のフルパワーを使う。データサイエンティスト・研究者・ジャーナリストが好む。

もう一つの差別化要因は「1 ファイル = 1 ドキュメント」。 Grist は SQLite ファイル 1 つが 1 つのベース。ダウンロードすればその中にすべてのデータ・数式・ビューが入っている。バックアップがファイルコピー。ローカルマシンで Grist を立てて、そのファイルで作業もできる。

機能。 Grid・Card List・Chart・Calendar・Custom Widget ビュー、数式(Python)、オートメーションは弱い、API、コラボレーション。もう一つの強みは きめ細かい権限(Access Rules) — 行/列単位の権限を SQL 風のルールで定義する。メディア・NGO・政府データのプロジェクトで強い。

弱点。 統合 ecosystem が最も薄い。Marketplace なし、オートメーションビルダー弱い。UI は綺麗だが「綺麗な Kanban ボード」のようなビジュアルの磨き込みは足りない。

Grist を選ぶとき。


第 6 章 · Rows(YC) — AI ファースト

Rows はポルトガル/ベルリン拠点のスタートアップ。Y Combinator 出身、2021年シードラウンド後、2023–2024年に AI 機能で再ポジショニング。「Sheets + AI」がスローガン。

コア差別化要因はビルトイン AI。 セルの中で =AI(...) のような関数を呼んで、OpenAI/Anthropic にヒットして答えを埋める。さらに「この行に会社名があれば LinkedIn URL、ARR、従業員数を埋めろ」のようなデータエンリッチメントをクリックでやる。

=AI("Summarize the company description in 1 sentence", A2)
=OPENAI("gpt-4o", "Extract email from text", B2)
=SCRAPE(C2, ".pricing-table")

機能。 Excel 互換関数(VLOOKUP、SUMIFS)、チャート、統合(HubSpot・Stripe・Google Analytics・LinkedIn からのデータ取得)、共有可能な「Live tables」(Web ページに埋め込み)。AI 機能の体験が最も滑らか。

料金。 無料プランが太っ腹(月 500 AI クレジット)。Plus/Pro プランがユーザーあたり月 19–59 ドル。

弱点。 「リレーショナル DB」モデルではない。Linked records のようなものはなく、本質的には Excel 互換のシート。だから Airtable を置き換える狙いではない — むしろ Google Sheets/Excel の座を狙う。

Rows を選ぶとき。


第 7 章 · Coda — ドキュメント + 表のハイブリッド

Coda は 2017年リリース。「Doc と Spreadsheet の結合」を掲げるツール。1 ページの中にテキスト・表・ボタン・チャートがすべて入り、表は別ページのデータとつながる。

コア差別化要因。 Coda は「ドキュメント」が単位。Notion がドキュメントの中にデータベースを置くのと似ているが、Coda の方が表/数式中心。Coda の数式は自前の関数言語(Coda Formulas)で、SQL/Excel/JavaScript のミックスのよう。

// Coda 数式例(疑似コード)
Customers.Filter(Plan = "Pro").Count()
Tasks.Filter(Owner = User() AND Done = false).Sort(DueDate)

Packs。 Coda の「統合 + 拡張」を Pack と呼ぶ。Slack・GitHub・Jira・Figma・HubSpot など数百の Pack があり、Pack は数式の中で関数のように使う。

Coda AI。 2023年リリース、2024–2025年に強化。「この表を要約しろ」「この列に AI でカテゴリを埋めろ」のような命令を自然言語で。

料金。 無料プランが太っ腹(Doc maker だけ課金)。Pro/Team が Doc maker 一人あたり月 12–36 ドル。「Doc maker だけ課金」モデルは一部のチームに魅力的(見る人は無料)。

弱点。 本当に重いデータ(10 万行以上)では遅くなる。外から見ると「ドキュメント」なので検索・発見が難しい。Notion が伸びる中、Coda のシェアは停滞気味の印象。

Coda を選ぶとき。


第 8 章 · SeaTable / Smartsheet(PE 買収) / Teable / Equals / Sigma — その他の強者

このグループは 1 章にまとめるが、それぞれ違うポジション。

SeaTable

ドイツ拠点。Seafile(クラウドストレージ)の会社が作る。OSS Community Edition + 商用ライセンス。外観は Airtable とほぼ同じ。強みは EU/GDPR フレンドリーセルフホストの滑らかさ。弱点は ecosystem の薄さ。ヨーロッパの政府・研究機関・中小企業に好まれる。

Smartsheet(Blackstone/Vista 買収)

2005年創業の老舗。2024年 11 月、Blackstone と Vista Equity が約 84 億ドルで買収し非公開化(IBM ではなく PE コンソーシアム)。2025–2026年に IBM が一部資産を watsonx と結合する協業を発表したが、会社自体は Blackstone/Vista の保有。Smartsheet は Excel に似たグリッドにプロジェクト管理・オートメーション・Gantt を結合したエンタープライズツール。

PE 買収後、料金がさらに上がり、「Enterprise から本当の機能」という評が強まった。新規チームは入ってこないが、すでに Smartsheet に PMO ワークフローが埋め込まれた大企業は離れにくい。

Teable(オープンソース、中国)

2023年リリースの比較的新しい OSS Airtable 代替。AGPL-3。急成長中で、中国市場とグローバルの両方で認知を上げている。NocoDB と似た「Postgres の上の no-code」コンセプトだが、UI がよりモダンで、react-table ベースの滑らかなグリッドが強み。セルフホスト親和。

Equals(YC)

2022年創業、Y Combinator 出身。財務チーム専用スプレッドシート。コア差別化要因は「スプレッドシートのセルが SQL クエリ結果を取ってくる」こと。アナリストが BigQuery/Snowflake にクエリを投げ、その結果をセルで受け取る。その上に Excel 数式で財務モデルを積む。CFO オフィスに愛される。

Sigma Computing

2014年創業。データウェアハウスの上のスプレッドシート。BigQuery/Snowflake/Databricks/Redshift に直接つながり、10 億行規模のテーブルの上でスプレッドシートのように使える。「Excel に見える BI ツール」で、Tableau/Looker の強力な競合。2024年シリーズ D(約 2 億ドル)、売上も急成長中。

Numeric(2026年 Brex 買収)

Numeric は会計のクローズ(月次決算)自動化スタートアップ。2026年 4 月、Brex が約 5 億ドルで買収 したことで大ニュースに。Numeric のスプレッドシート風 UI は ERP(NetSuite・QuickBooks)につながり、決算ワークフローを自動化する。Brex 買収後、Brex のカード/バンキングデータと結合される方向で統合が進行中。

クイック比較

ツールポジションOSS?主な利用者
SeaTableリレーショナルシート、EUコア OSSヨーロッパ中小企業、研究
Smartsheetプロジェクト管理シート大企業 PMO
TeableAirtable 代替(中国 OSS)OSSグローバル、中国
EqualsSQL + 財務モデルCFO オフィス
Sigma Computingウェアハウスの上のシートデータ/分析チーム
Numeric会計クローズ自動化(Brex)会計チーム

第 9 章 · AppFlowy — Notion クローンに近い表

AppFlowy はカナダ拠点の OSS プロジェクト。AGPL-3。最初は「Notion の OSS 代替」として始まったが、2024–2026年に表/データベース機能が強化され、「Notion + Airtable の OSS 代替」というポジショニングに近づいた。

機能。 Doc/Page の中にデータベースを置くモデル(Notion と同じ)。Grid・Board・Calendar・Gallery ビュー。セルフホスト(AppFlowy Cloud)、デスクトップアプリ(Rust/Flutter)、モバイルアプリ。AI 機能を追加中。

なぜ注目すべきか。 Notion が閉じた SaaS で料金が負担になるチーム、特にデータ主権/オンプレが重要なチーム(政府・教育・EU・中国外アジアの一部)で採用される。GitHub スター 5 万を超え、コミュニティ活動が活発。

弱点。 まだ Notion ほど滑らかではない(特にリアルタイムコラボの安定性)。Marketplace やオートメーション ecosystem も薄い。

AppFlowy を選ぶとき。


第 10 章 · Google Sheets + Gemini / Excel + Copilot

陣営を離れて、2026年の現実は 依然として多くのデータが Sheets/Excel にある。AI が入って、この 2 巨人が他のツールを脅かす。

Google Sheets + Gemini

2024年に Workspace 全体に Gemini 統合が入り、2025–2026年に Sheets の中の「Help me organize」「Help me visualize」「Help me write formulas」が標準機能になった。

=AI("Summarize the comments in column B", B2:B100)

同じ関数(AI())が正式関数としてリリースされた。Gemini 2.5/3.0 がセルのコンテキストを理解して答える。料金は Workspace Business Standard/Plus に含まれる(追加料金なし、使用量制限あり)。学校・政府・中小企業のほぼ全てが実質使っている。

弱点。 Sheets は依然としてセルベースモデルなので「リレーショナル DB」シナリオは弱い。Linked records がなく、大きなデータ(10 万行以上)で遅い。コラボは強いが権限管理はシンプル。

Excel + Copilot + Power BI

Microsoft 365 Copilot は Excel の中で「このデータでピボットを作って」「このトレンドを要約して」「来期を予測して」のような命令を自然言語で受ける。2025年からユーザーあたり月 30 ドル(個別ライセンス、SKU により異なる)追加で有効化される。

Power BI は別ツールだが Excel と深く統合され、「Excel で作ったデータモデル → Power BI ダッシュボード」が一気通貫。Copilot は Power BI にも入っている。

なぜ強いか。

弱点。 Copilot は依然として幻覚があり、大きなデータで遅い。Power BI は学習曲線が急。料金は SKU が多くて複雑。

Sheets vs Excel どっち?


第 11 章 · AI in スプレッドシート — Rows / Copilot / Gemini / Coda 比較

AI 機能をもっと詳しく見る。2026年現在「AI in spreadsheet」は 4 つのパターンがある。

パターン 1: 自然言語 → 数式

「この列の平均を出す数式を作って」 → ツールが =AVERAGE(B2:B100) のようなものを生成。Excel Copilot・Sheets Gemini・Rows すべて対応。初心者に最も価値ある機能。

パターン 2: AI セル関数(=AI(...))

セルの中で =AI("prompt", reference) で LLM を呼ぶ。Rows・Sheets(Gemini)・Excel(Copilot) すべて対応。

パターン 3: データエンリッチメント

「この会社名に LinkedIn URL と従業員数を埋めろ」。Rows・Coda(Pack)・Clay(別ツール)が最強。営業/マーケで核。

パターン 4: 自然言語分析 / チャート

「このデータでトレンド分析して」 → 表とチャートを自動生成。Excel Copilot が最強、Sheets Gemini が急速に追い上げ中。Rows・Coda は自然言語分析は弱いがセル単位の AI は強い。

比較表

パターンExcel CopilotSheets GeminiRowsCoda AI
自然言語 → 数式
AI セル関数中(制限)最強
データエンリッチメント最強中(Pack)
自然言語分析 / チャート最強
統合 ecosystem強(Microsoft 365)強(Workspace)
料金30 ドル/ユーザー/月 追加Workspace 込み無料/19 ドル〜無料/12 ドル〜

一行結論。 AI 機能だけ見れば Rows・Coda が深く、Excel/Sheets が広い。チームがデータエンリッチメントワークフロー多めなら Rows、自然言語分析/ダッシュボード多めなら Excel Copilot、「AI をきれいに使いたい」なら Sheets Gemini が無難。


第 12 章 · kintone(サイボウズ) — 日本の強者

kintone は日本のサイボウズが作るビジネスアプリプラットフォーム。日本では圧倒的(2026年時点で約 4 万 5,000 社以上の顧客)。グローバルでも米国法人を通じて拡大中。

なぜ日本で強いか。

  1. ローカライズ。 日本語 UI、和暦(令和)、稟議・はんこの決裁ワークフローが深い。
  2. ワークフロー。 申請書 → 承認ステップ → 通知 → 次のステップ — 日本企業の決裁文化にぴったり。
  3. アプリ = 表 + フォーム + ワークフロー。 Airtable のように表があり、その上にフォーム/ビュー/アクションがある。だがより「ビジネスアプリ」に近い。
  4. オンプレオプション。 kintone 自体は SaaS のみだが、サイボウズの他製品(Garoon、Office)と一緒に日本大企業で信頼が深い。

料金。 ユーザーあたり月 15 ドル(ライト)、30 ドル(スタンダード)前後。Airtable より安く、Smartsheet より安い。

弱点。 UI が保守的。AI 機能は 2025–2026年から本格化中で、Excel Copilot/Rows 級ではない。グローバル統合(Stripe・Slack など)は Airtable より薄い。日本国外では認知が低い。

kintone を選ぶとき。


第 13 章 · 韓国 / 日本のケース — フォーム・ワークフローの座

スプレッドシートとは別に、「社内フォーム/申請書/ワークフロー」領域には韓国・日本に独自の強者がいる。

韓国

日本

なぜ韓国・日本市場は別々に発達したか

  1. 決裁文化。 韓国の電子決裁、日本の稟議/はんこ — 欧米 SaaS が最初うまくサポートできなかった領域。
  2. 言語/ローカライズ。 Airtable・Notion・Coda のようなツールが韓国語/日本語を 100% 滑らかに扱うまで時間がかかった。
  3. 会計/税務の違い。 会計 SaaS はほぼすべての国に自前強者がいる(米国 QuickBooks、日本 freee/MF、韓国 Douzone/ECount)。
  4. グループウェアの残存。 韓国・日本の大企業には 1990年代から自前グループウェアが刺さっており、そこにフォーム/決裁が統合されている。

だから。 もし韓国・日本企業で「Airtable のようなものを使いたい」と言われたら、答えは普通 2 つに分かれる。


第 14 章 · 誰が何を選ぶか — 意思決定ツリー

ツールをすべて見たので意思決定に落とす。6 つのペルソナで見る。

ペルソナ A: 個人/サイドプロジェクト

ペルソナ B: 5–20 人の小チーム

ペルソナ C: 20–200 人の中堅

ペルソナ D: エンタープライズ 200 人以上

ペルソナ E: セルフホスト / OSS 要件

ペルソナ F: 財務 / データ分析

最後の一行

「1 ツールですべてやる」はほぼ不可能。2026年の現実は データの形に応じてツールが変わる

ツールを統合しようとせず、データの形に合うツールを選ぶ — それが 2026年のベストプラクティス。


参考 / References

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