LabHub

ブログ

オフィススイート代替 2026 — LibreOffice / OnlyOffice / Collabora / WPS Office / Google Workspace / Microsoft 365 + Copilot / 한컴오피스 / 一太郎 ディープダイブガイド

한국어English日本語

1. 2026 年のオフィススイート地図 — OSS / SaaS / 地域王者 / コラボの 4 分類

2026 年のオフィススイート市場は、「Word, Excel, PowerPoint」がすべてだった時代とまったく違います。クラウド、コラボレーション、AI、地域別標準が絡み合い、唯一の正解はもう存在しません。

俯瞰で見ると 4 つのカテゴリに分かれます。

2026 年に向けてもっとも大きく変わったのは 2 点です。第一に、AI がオフィスの「必須機能」になりました。Microsoft Copilot for Office が Microsoft 365 の決定的な差別化要因になり、Google も Gemini for Workspace で同じ方向に進みました。第二に、地政学的な分岐が深まりました。ロシア発祥の OnlyOffice、中国 Kingsoft の WPS Office は、米国・EU・韓国・日本の政府および公共領域では導入リスクの評価対象になり、同時にインド・東南アジア・アフリカでは価格競争力で存在感を増しています。

もう一つの大きな変化は Salesforce Quip のサンセットです。2024 年に Salesforce が Quip の段階的廃止を発表し、「コラボドキュメント」市場は Notion・Coda・Microsoft Loop を中心に再編されました。

本稿は 2026 年 5 月時点でこれらすべてのツールを一気に俯瞰するガイドです。個人ユーザー、企業の IT 意思決定者、公共・政府の調達担当、そして文書互換性に厳しい受託・コンサル業務をされる方の助けになるよう整理しています。


2. LibreOffice 24.8 — TDF の標準

LibreOffice は The Document Foundation (TDF) が維持する OSS のオフィススイートです。2010 年に OpenOffice.org からフォークされて以来、事実上の OSS オフィスの本流になりました。

LibreOffice 24.8 は 2024 年 8 月にリリースされました。突然 24.8 という番号にジャンプしたのは、TDF が Calendar Versioning (CalVer) に切り替えたためです。これまでは 6.x, 7.x 形式でしたが、「年.月」表記に統一されました。2025 年には 25.2 と 25.8、2026 年には 26.2 がリリースされています。

LibreOffice の構成:

2024 〜 2026 の主な改善:

macOS / Windows / Linux / FreeBSD いずれも無料でインストールできます。

# macOS (Homebrew)
brew install --cask libreoffice

# Ubuntu / Debian
sudo apt install libreoffice

# Arch
sudo pacman -S libreoffice-fresh

LibreOffice の強み:

LibreOffice の限界:

LibreOffice をいつ使うか:


3. OnlyOffice 8.x — クラウドフレンドリー

OnlyOffice はラトビア本社の Ascensio System SIA が開発するオフィススイートです。チームはロシア・ラトビア系で、2014 年以降に本社をラトビア (EU) に移しました。その背景から米国・韓国・日本の政府領域では導入時にリスク評価がかかる場合があります。

OnlyOffice の最大の強みは DOCX / XLSX / PPTX 互換性です。ODF ではなく OOXML (Microsoft のフォーマット) を一級市民として扱うため、Microsoft Word ファイルを開いたときのレイアウト崩れがもっとも少ない部類です。

OnlyOffice 8.x の主な機能:

インストールは 3 通り:

# Docker で OnlyOffice Docs Community をセットアップ
docker run -i -t -d \
  -p 80:80 \
  --restart=always \
  onlyoffice/documentserver

OnlyOffice をいつ使うか:

避けるべきケース:


4. Collabora Online — LibreOffice の商用バック

Collabora は英国のオープンソースコンサルティング会社で、LibreOffice の最大のコード貢献者の一つです。Collabora Online は彼らが作る「オンライン LibreOffice」 — 実質、LibreOffice のブラウザ版だと考えればよいです。

Collabora Online の位置:

Collabora Online の最大の強みは、ODF の正統性と LibreOffice の互換性プロファイルをそのまま引き継ぎつつ、リアルタイム共同編集が可能なことです。

価格は階層に分かれます:

# Docker で CODE デモを起動
docker run -t -d -p 9980:9980 \
  -e "domain=cloud\\.example\\.com" \
  --restart always \
  --cap-add MKNOD \
  collabora/code

EU・ドイツ・フランス・スイスの政府・公共が Microsoft 365 の代替として頻繁に採用する組み合わせが「Nextcloud + Collabora Online」です。ドイツ BMI (内務省) の Phoenix Suite、フランスの Bluedigit などのプロジェクトが代表例です。


5. WPS Office (Kingsoft) — 14億+ ユーザー

WPS Office は中国 Kingsoft (金山办公) が作るオフィススイートです。WPS はもともと「Writer, Presentation, Spreadsheets」の略でしたが、今はブランド名扱いです。

WPS Office の位置づけ:

WPS Office の構成:

2024 〜 2026 の主な変化:

WPS Office のリスク・懸念点:

WPS Office をいつ使うか:

避けるべきケース:


6. FreeOffice (SoftMaker) — ドイツの無料 + Pro

FreeOffice はドイツの SoftMaker GmbH が作るオフィススイートです。1987 年からワードプロセッサを作ってきた老舗で、「TextMaker」「PlanMaker」「SoftMaker Presentations」の 3 製品を無料版 (FreeOffice) と有料版 (SoftMaker Office NX) として提供しています。

FreeOffice の強み:

FreeOffice の限界:

有料版 SoftMaker Office NX ではマクロ・高度な PDF・辞書などが追加されます。

FreeOffice をいつ使うか:

ドイツ・オーストリア・スイスで知名度が高く、一部の学校 IT 環境で LibreOffice と並んで採用されています。


7. AbiWord / Calligra Suite / Apache OpenOffice — その他 OSS

この 3 つはかつて OSS オフィスの主要な選択肢でしたが、2026 年には利用頻度がかなり下がっています。ただし特定の状況では依然として意味があります。

AbiWord:

いつ使うか: かなり古い PC で Word ファイルを素早く開きたいとき

Calligra Suite (KDE):

いつ使うか: KDE 環境で KDE 統合ツールを好む人 (実利よりも統合・美的理由)

Apache OpenOffice:

いつ使うか: ほぼ推奨しない。LibreOffice があらゆる面で優位


8. iWork (Apple) — Pages / Numbers / Keynote

iWork は Apple のオフィススイートです。Pages (ワード)、Numbers (表計算)、Keynote (プレゼン) の 3 製品で、macOS / iPadOS / iOS / iCloud Web で無料で使えます。

iWork の強み:

iWork の限界:

iWork をいつ使うか:

Keynote は特に強力です。トランジションやアニメーションが PowerPoint より自然で、「Magic Move」は PowerPoint の「Morph」より安定しています。2007 年スティーブ・ジョブズの iPhone 発表以降、「デザインが重要なプレゼンの標準」として定着しました。


9. Google Workspace + Gemini for Workspace

Google Workspace は Google Docs / Sheets / Slides / Drive / Gmail / Meet / Calendar をまとめた SaaS です。2020 年に G Suite から Workspace へリブランドされ、2024 〜 2025 に Gemini for Workspace が正式公開されたことで AI が一級機能になりました。

Google Workspace の構成 (2026):

Gemini for Workspace の機能:

価格 (2026 年時点の正確な数値は公式ページ参照):

Google Workspace の強み:

Google Workspace の限界:


10. Microsoft 365 + Copilot for Office

Microsoft 365 (旧 Office 365) は 2026 年もオフィス市場の 1 位を維持しています。2024 〜 2025 に Microsoft 365 Copilot が正式に出荷され、AI と統合されたオフィスの新基準を作りました。

Microsoft 365 の構成 (2026):

Microsoft 365 Copilot の機能:

価格は個人と法人に分かれます。

個人:

法人:

Copilot は別の add-on (ユーザーあたり追加費用)。2024 年のリリース時は高いとの評が多かったですが、2025 年以降の価格調整で導入スピードが加速しました。

Microsoft 365 の強み:

Microsoft 365 の限界:


11. Zoho Workplace

Zoho はインド・チェンナイ本社の SaaS 会社です。CRM で有名ですが、Zoho Workplace というフルスタックのオフィス・コラボスイートも展開しています。

Zoho Workplace の構成:

Zoho の位置づけ:

価格はユーザーあたり月額で複数のプランがあり、Microsoft 365 / Google Workspace の半額以下のことも多いです。

Zoho Workplace をいつ使うか:


12. 韓国 — 한컴오피스 (한글 / 한셀 / 한쇼), Polaris Office

韓国のオフィス市場は世界でもっとも特殊な市場の一つです。Microsoft Office が市場シェア 1 位ですが、한컴오피스が政府・公共・学校の事実上の標準で、Polaris Office がモバイル・クラウドで定着しています。

한컴오피스 2024 (HanCom Office) — 韓国の標準:

.hwp (Hangul Word Processor) は韓国政府・公共の標準で、ほぼすべての行政文書が .hwp です。2017 年に .hwpx (Open Document ベースの標準) が KS X 6101 規格として指定され、政府案件文書では .hwpx 形式での提出割合が増えています。

한컴오피스の強み:

한컴오피스の限界:

Polaris Office (Infraware → 한컴傘下) — 韓国のモバイルオフィス:

한컴오피스をいつ使うか:

Polaris Office をいつ使うか:


13. 日本 — 一太郎 (Ichitaro) + ATOK IME

日本のオフィス市場も韓国と似たような独自性があります。Microsoft Office が市場シェア 1 位ですが、日本語ワードプロセッサとして JustSystems の 一太郎 が 30 年以上の標準で、日本語入力 IME の ATOK がビジネス環境の日本語 IME 1 位です。

JustSystems 一太郎:

ATOK (Advanced Technology Of Kana-kanji transfer):

日本政府・公共の流れ:

一太郎 をいつ使うか:

ATOK をいつ使うか:

ビジネス一般文書は Microsoft Word / Excel / PowerPoint が 1 位ですが、出版・学術・法務領域の日本語組版では 一太郎 + ATOK の組み合わせが依然として強力です。


14. 新興 — Notion AI / Coda / Stackby

オフィススイートの定義が「Word + Excel + PowerPoint」だった時代は終わりました。2010 年代後半から「コラボワークスペース」という新しいカテゴリが登場し、2026 年にはある程度成熟しました。

Notion (+ Notion AI):

価格: Free / Plus / Business / Enterprise (ユーザーあたり月額)。

Coda:

Stackby:

Airtable (別カテゴリだがよく比較される):

新興ツールをいつ使うか:

これらは Microsoft Word / Excel の代替ではなく補完です。社内 Wiki やプロジェクト管理は Notion、四半期報告書は PowerPoint、財務モデルは Excel — そのような分業が一般的です。


15. Quip (Salesforce, 2024 サンセット)

Quip は一時期、コラボドキュメントの有望株でした。2012 年に Bret Taylor (Facebook CTO や FriendFeed の創業者) と Kevin Gibbs が創業したコラボドキュメントツールで、2016 年に Salesforce が買収しました。

Quip の位置 (2016 〜 2024):

Salesforce のサンセット決定 (2024):

この流れは「コラボドキュメント」市場の整理を示しています。Notion・Coda・Microsoft Loop が生き残り、Quip・Dropbox Paper・Atlassian Confluence の一部機能は吸収されるか消えていきます。

Quip ユーザーの移行オプション:


16. ODT vs OOXML — フォーマット戦争

オフィススイートの互換性問題は、結局「どのファイルフォーマットが標準か」の問題です。2 つの大きな陣営があります。

ODF (Open Document Format) 陣営:

OOXML (Office Open XML) 陣営:

2026 年の現実:

推奨:


17. 政府・公共標準 — 韓国 OGI, 日本 OOXML

各国政府の文書標準はオフィスツール選択の大きな変数です。

韓国:

日本:

EU:

米国:

中国:


18. 誰が何を選ぶべきか — 個人 / 企業 / 公共 / 互換性

状況別の推奨を整理します。

個人ユーザー (個人・学生):

スタートアップ・中小企業:

大企業・エンタープライズ:

政府・公共:

コラボ・Wiki・プロジェクト管理:

互換性・受託・コンサル業務:


19. 参考 / References

LibreOffice (TDF)

OnlyOffice

Collabora Online

WPS Office (Kingsoft)

FreeOffice (SoftMaker)

その他 OSS オフィス

iWork (Apple)

Google Workspace

Microsoft 365

Zoho Workplace

韓国 — 한컴 / Polaris

日本 — JustSystems

新興コラボツール

Quip (Salesforce)

フォーマット標準

政府・公共標準

コメント

まだコメントはありません。

ログインするとコメントできます