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メインフレーム & レガシーシステム 2026 — IBM z17 (2025.9) / IBM i / COBOL / RPG / JCL / CICS / watsonx Code Assistant for Z 深掘りガイド

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プロローグ — 死んだと言われ続けて、まだそこにある

「メインフレームは死んだ」という見出しは 1990 年代から毎年出ている。それでも 2026 年 5 月、あなたが ATM で現金を引き出し、クレジットカードを切り、航空券を予約し、税金を払い、自治体に出生届を出すその瞬間、トランザクションの最後の一行は極めて高い確率で メインフレーム上の COBOL プログラム を通過する。

そしてこの巨大なレガシーは、2023 年以降に AI という新しい変数と出会い、再び現代化のサイクルに入る。IBM watsonx Code Assistant for Z は COBOL を Java へ変換し、GitHub Copilot は COBOL 補完を支援し、AWS Mainframe Modernization はメインフレームのワークロードをクラウドに引き上げる。

この記事は 2026 年時点のメインフレームを扱う。どうやって死ななかったのか、新しいハードウェアは何か、AI はこの巨大なレガシーをどう削っているのか、そして — もしあなたが開発者なら — なぜ今 COBOL を学ぼうとする人がいるのか。


1章 · 2026 年のメインフレーム — 死ななかった巨人

まず数字から。2026 年時点のメインフレーム・エコシステムの推定:

項目推定規模
本番稼働中の COBOL 行数200~220B 行
IBM i 稼働サイト130,000+ 社(Forrester/IBM 推定)
IBM Z システム導入数世界で約 10,000+ サイト
IBM Z の一日のビジネストランザクション処理量約 300 億件
Fortune 500 のメインフレーム利用率約 70%
世界トップ 50 行のメインフレーム利用率約 92%
メインフレームを経由するクレジットカード取引比率約 87%

(出典: IBM、Forrester、Gartner の市場推定 — 正確な数字は出典により異なる。本記事の数値はいずれも 2024~2025 年の公開資料に基づく推定値。)

「なぜ置き換えないのか」は誤った問いだ。正しい問いは 「置き換えないことが合理的な理由は何か」 である。答えは三つに圧縮される。

  1. 検証された信頼性 — z/OS の可用性はしばしば 99.999%(5 nine)以上と報告される。年間ダウンタイム約 5 分。新システムでこれを並ぶには年単位の時間が要る。
  2. 未検証の変更リスク > 変更の価値 — 2,000 万行の保険会社の基幹を Java に書き直すとする。2 年、1 億ドル。その間、新機能は出せない。CFO はサインしない。
  3. データ重力 — Db2 z/OS、IMS、VSAM に数十年蓄積されたデータがそこにある。データを動かす方がコードを動かすより難しい。

だからメインフレームは死ななかった。死ぬ代わりに、ゆっくり進化する。それがこの記事の主題だ。


2章 · IBM z17 (2025.9) — Telum II + 統合 AI

2025 年 9 月、IBM は z17 を発表した。前世代の z16 は 2022 年 4 月発売だったので、約 3 年周期だ。z17 の核は二つ。

Telum II プロセッサ

要するに、Telum II は トランザクションの中に AI 推論を埋め込める。カード決済が起きるまさにその瞬間に、同じチップ上で不正検知モデルが動く。GPU クラスタへデータを送る必要はない。

Spyre アクセラレータ (オプション)

z16 で初登場した IBM Spyre AI アクセラレータ(別途 PCIe カード)は、z17 でもオプションで提供される。Spyre はより大きなモデル(生成 AI 推論)向けの独立アクセラレータで、Telum II のオンチップ加速と併用できる。

何が変わったか (z16 比)

項目z16 (2022.4)z17 (2025.9)
プロセッサTelum ITelum II
オンチップ AIあり(1 世代目)強化(2 世代目)
Spyre アクセラレータオプション(後期導入)オプション(拡張)
メモリ帯域-改善(詳細は IBM 資料参照)
セキュリティCrypto Express 8S、耐量子暗号対応同流れ + 強化
可用性99.999% 以上同クラス

z17 は革命というより AI 統合の深化 だ。トランザクション + AI 推論 + セキュリティを一つのチップで完結させるという IBM のメッセージはより強くなった。

z17 を買うのは誰か

価格は公開されない。たいていは「数百万ドル〜」とだけ言われる。そしてその額を支払う会社は、それが合理的だと信じている。


3章 · IBM z16 — まだ現役

z17 が出たからといって z16 が消えたわけではない。2022 年 4 月発表の z16 は 2026 年現在も活発に販売・導入されている。メインフレームのライフサイクルは長い — 一度入ると 10 年は使う。

z16 の特徴を整理すると:

銀行が z16 を導入したばかりなら、z17 に乗り換える動機は弱い。多くは z16 + ファームウェア更新 で 2030 年代前半までは運用するだろう。


4章 · IBM i (旧 AS/400) — 130K+ 社

IBM Z ほどには有名でないが、IBM のもうひとつのメインフレーム系列がある。IBM i — 1988 年発売の AS/400 の後継だ。

名前の歴史

ハードウェアは IBM Power サーバの上で動く。つまり IBM i は Power Systems のハードウェア + IBM i OS の組み合わせだ。2026 年時点では Power10 上で IBM i 7.5 / 7.6 などが動いている。

なぜ未だに 130,000 社が使うのか

主要利用業界

ERP パッケージとしては JD EdwardsInfor (旧 SSA Global)BPCS などが IBM i 上で動く。

RPG — IBM i の主力言語

IBM i の主力プログラミング言語は RPG (Report Program Generator)。次の章で深く掘る。


5章 · COBOL — 推定 200~220B 行が本番稼働

COBOL は 1959 年にグレース・ホッパーらを含む委員会が設計した言語だ。名前の意味は COmmon Business Oriented Language。60 年以上の言語が、まだ 200B 行が動く。

なぜそれほど多いのか

200B 行という数字は 累計 だ。毎年新規に書かれる COBOL は減るが、消されもしない。だから行数は増え続ける。

COBOL コードの形

       IDENTIFICATION DIVISION.
       PROGRAM-ID. INTEREST-CALC.
       AUTHOR. YJ.
      *
       ENVIRONMENT DIVISION.
       CONFIGURATION SECTION.
       SOURCE-COMPUTER. IBM-Z.
       OBJECT-COMPUTER. IBM-Z.
      *
       DATA DIVISION.
       WORKING-STORAGE SECTION.
       01  WS-PRINCIPAL       PIC 9(7)V99 VALUE 1000000.00.
       01  WS-RATE            PIC 9(3)V99 VALUE 3.50.
       01  WS-YEARS           PIC 9(2) VALUE 5.
       01  WS-INTEREST        PIC 9(9)V99.
       01  WS-TOTAL           PIC 9(9)V99.
      *
       PROCEDURE DIVISION.
       CALC-INTEREST.
           COMPUTE WS-INTEREST = WS-PRINCIPAL * (WS-RATE / 100) * WS-YEARS.
           COMPUTE WS-TOTAL    = WS-PRINCIPAL + WS-INTEREST.
           DISPLAY "Principal : " WS-PRINCIPAL.
           DISPLAY "Interest  : " WS-INTEREST.
           DISPLAY "Total     : " WS-TOTAL.
           STOP RUN.

COBOL の特徴:

COBOL 規格の流れ

COBOL コンパイラ


6章 · RPG / JCL / CICS / Db2 z/OS / IMS / PL/I

COBOL はメインフレーム言語の中で最も有名なだけだ。環境には他の中核技術がある。

RPG (Report Program Generator) — IBM i の主力

名前は「レポート生成器」だが、現代の RPG は汎用ビジネス言語だ。流れ:

現代の free-format RPG 例:

**free
ctl-opt main(main);

dcl-proc main;
  dcl-s principal packed(9:2) inz(1000000);
  dcl-s rate     packed(5:2) inz(3.50);
  dcl-s years    packed(2:0) inz(5);
  dcl-s interest packed(11:2);
  dcl-s total    packed(11:2);

  interest = principal * (rate / 100) * years;
  total    = principal + interest;

  dsply ('Total: ' + %char(total));
end-proc;

RPG は データベースと非常に強く結合 している。SQL を RPG の中にインラインで書ける embedded SQL が標準だ。

JCL (Job Control Language)

z/OS でバッチ・ジョブを定義する言語。「不愉快な古いシェルスクリプト」と揶揄されるが、メインフレーム運用の血管だ。

//PAYROLL  JOB  (ACCT1234),'PAYROLL JOB',
//             CLASS=A,MSGCLASS=X,REGION=4M
//STEP1    EXEC PGM=PAYCALC
//STEPLIB  DD   DSN=PROD.LOADLIB,DISP=SHR
//INPUT    DD   DSN=PROD.PAYROLL.MASTER,DISP=SHR
//OUTPUT   DD   DSN=PROD.PAYROLL.NEWRUN,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//              SPACE=(CYL,(10,5)),
//              DCB=(LRECL=200,BLKSIZE=27800,RECFM=FB)
//SYSPRINT DD   SYSOUT=*

JCL の特徴:

JCL は運用者の資産だ。良い JCL の一行は会社を救う。悪い JCL の一行は会社を破産させる(プロダクションマスターを DISP=NEW,DELETE で消す、という永遠のジョーク)。

CICS (Customer Information Control System)

z/OS の トランザクション・モニタ。1969 年から稼働している。CICS は:

現代の CICS は CICS Transaction Server という名で z/OS 上で動く。REST/JSON インタフェースもサポートする。

Db2 z/OS (IBM Db2 for z/OS)

z/OS の標準リレーショナル DB。他環境の Db2 (LUW、for i) とはコードベースが別だ。2026 年時点で Db2 for z/OS V13 以降のバージョンが運用される。

Db2 z/OS のアイデンティティ:

IMS (Information Management System)

1968 年にアポロ計画のために作られた 階層型 DB + トランザクション・モニタ。リレーショナル DB(Db2)より古く、いくつかの大手銀行・航空・製造は今でも IMS DB と IMS TM を運用している。「古い = 使われていない」ではない — 古いから 検証済みで速い

PL/I (Programming Language One)

1964 年に IBM が COBOL と Fortran を統合する野心で作った。結局両方を置き換えることはなかったが、一部の大型システム(特に欧州銀行、一部の OS コード)で今も使われる。

TEST: PROC OPTIONS(MAIN);
  DCL PRINCIPAL FIXED DEC(9,2) INIT(1000000);
  DCL RATE      FIXED DEC(5,2) INIT(3.50);
  DCL YEARS     FIXED BIN(15)  INIT(5);
  DCL INTEREST  FIXED DEC(11,2);
  DCL TOTAL     FIXED DEC(11,2);

  INTEREST = PRINCIPAL * (RATE / 100) * YEARS;
  TOTAL    = PRINCIPAL + INTEREST;

  PUT SKIP LIST('Total: ', TOTAL);
END TEST;

PL/I は COBOL より表現力は高いが学習曲線も急だ。「あるところにはあるが、新規には始まらない」。


7章 · Fujitsu BS2000 / NEC ACOS / Unisys ClearPath — 非 IBM メインフレーム

「メインフレーム = IBM」という認識はよく見るが、不正確だ。日本・欧州・米国の一部では、IBM ではないメインフレームが現在も稼働している。

Fujitsu BS2000 (日本/ドイツ)

NEC ACOS (日本)

Unisys ClearPath

まとめ — 非 IBM メインフレームの共通点

項目共通点
シェアIBM より小さいがゼロではない
拠点地域集中(日本・ドイツ・米国)
移行圧力IBM Z より大きい。後継世代の保証が弱いため
現代化経路多くは IBM Z へ移行、または Linux/クラウドへ

8章 · AWS Mainframe Modernization

2022 年に AWS は AWS Mainframe Modernization (AWS MMA) サービスをローンチした。メインフレーム・ワークロードを AWS に持ち上げるためのマネージドサービスだ。

二つのパターン

AWS MMA が公式に推す二つの移行戦略:

  1. Replatform (再プラットフォーム) — COBOL はそのまま、メインフレームの実行環境だけを別の場所(AWS のコンテナ/EC2)に移す。AWS は Micro Focus(現 OpenText)ランタイムを使うオプションを提供。
  2. Refactor (再ファクタリング) — COBOL を Java に自動変換。AWS は Blu Age を買収・統合した。Blu Age は COBOL をモダンな Java/Spring/Angular に変換するツール。

Replatform の方が多い

大規模な移行のほとんどは Replatform。理由:

ただし落とし穴もある。

流れ

[メインフレーム]               [AWS]
   COBOL ソース ────────▶    COBOL ソース (または Java 変換)
   JCL バッチ   ────────▶    AWS Batch / EventBridge Scheduler
   CICS         ────────▶    Mainframe Modernization Runtime
   Db2 z/OS     ────────▶    Aurora PostgreSQL / Db2 LUW
   VSAM         ────────▶    DynamoDB / S3 / Aurora
   IMS          ────────▶    個別マッピング(最難関)

AWS は移行の評価・分析・カットオーバーまでをマネージドで提供する。それでもメインフレームのベテランと AWS ソリューションアーキテクトの組み合わせは必要だ。


9章 · Micro Focus → OpenText (2022) → Visual COBOL

メインフレーム現代化の中心に長くいたのが Micro Focus だ。英国本社の会社で、COBOL コンパイラ/ランタイムの最大級の供給元のひとつ。

2022 年 — OpenText が買収

2022 年、カナダの情報管理企業 OpenText が Micro Focus を約 60 億ドルで買収した。買収完了に伴い、Micro Focus ブランドは段階的に OpenText ブランドへ統合中だ。

Visual COBOL — 主力製品

Micro Focus(現 OpenText)の主力は Visual COBOL。それが行うこと:

Enterprise Server / Enterprise Developer

OpenText のメインフレーム関連ラインは概ね:

AWS Mainframe Modernization の Replatform オプションの一部は、この OpenText スタック上で動く。

意味

OpenText は メインフレームを殺さない。彼らはメインフレームのコードを別の環境で動かし続けることをビジネスにしている。彼らのモデルは「COBOL は 2030 年代も生きている」という前提に立っている。


10章 · IBM watsonx Code Assistant for Z (2023.8) — AI による COBOL 現代化

2023 年 8 月、IBM は watsonx Code Assistant for Z を発表した。メインフレーム COBOL を Java へ変換することを助ける AI ツールだ。

何をするのか

動作モデル

watsonx Code Assistant for Z は LLM(IBM の granite コードモデルファミリーをベースに)+ メインフレーム特化のドメイン知識の組み合わせだ。ただの ChatGPT ではなく、COBOL/JCL/CICS のパターンを学習したモデル が裏側にいる。

限界と現実

IBM のマーケティングを額面通りに受け取ってはいけない。実際には:

ただし 出発点 としては価値がある。ゼロから始めるのではなく、AI が作った最初のパスを人間が磨く。

2024~2025 年の流れ


11章 · GitHub Copilot の COBOL 対応

GitHub Copilot は 2021 年に GA。当初は JavaScript・Python・TypeScript で有名だった。言語サポートは時間とともに拡大し、COBOL 補完にも対応 している。

実際の体験

COBOL で Copilot はどう助けてくれるか:

限界

Copilot vs watsonx Code Assistant for Z

両者は競合というより 層が違う。日常コーディングは Copilot、大規模変換プロジェクトは watsonx。


12章 · zCX (z/OS コンテナ) + Linux on Z + LinuxONE

メインフレームをクラウド時代に引き寄せるもうひとつの流れが コンテナと Linux だ。

zCX (z/OS Container Extensions)

2019 年に導入された z/OS の機能。z/OS の中で Docker コンテナを実行 する。z/OS 内に Linux on Z 環境を組み込み仮想マシンとして立ち上げ、その中でコンテナを動かす。

なぜ重要か:

Linux on Z

z ハードウェア上で直接 Linux を動かす モード。z/OS と同じ LPAR で分割でき、一台のメインフレームに複数環境を同居させる。

IBM LinuxONE

Linux 専用メインフレーム。ハードは IBM Z と同じ系列だが、z/OS は載らない。つまり「メインフレーム信頼性 + Linux 専用」。主な用途:

IBM Cloud Hyper Protect

IBM Cloud の Confidential Computing ライン。メインフレームのセキュリティ技術(Crypto Express、Secure Service Container)をクラウドサービスとして提供。鍵管理、信頼仮想サーバ、DB などをメインフレーム級セキュリティでホスト。


13章 · Hercules + GnuCOBOL — オープン・エミュレーション

自宅でメインフレームを触れるか? 触れる。

Hercules — System/370 / ESA/390 / z/Architecture エミュレータ

オープンソースで公開された メインフレーム・エミュレータ。一般 PC/Mac/Linux 上で z/Architecture を模倣する。ただし:

GnuCOBOL

オープンソースの COBOL コンパイラ。COBOL を C にトランスパイル し、その後通常の C コンパイラでビルドする。

# インストール(例: macOS の Homebrew)
brew install gnu-cobol

# コンパイル
cobc -x -o interest interest.cob

# 実行
./interest

学習ルート


14章 · 現代化パターン — Strangler Fig と Anti-Corruption Layer

レガシーを置き換えるパターンは、実はメインフレーム特有の話ではない。次の二つが最も有名かつ実用的だ。

Strangler Fig パターン (Martin Fowler)

名前の由来はオーストラリアのイチジク(strangler fig)— 他の木を巻きながら育ち、いずれ元の木を枯らして自分が取って代わる木。マーチン・ファウラーが 2004 年の記事でシステム刷新にこの比喩を使ったのが始まり。

戦略:

  1. レガシーシステムの前に プロキシ/ファサード を置く。
  2. 新しいリクエストの一部を 新システム に振る。
  3. 段階的に、より多くのリクエストを新システムへ。
  4. ある日、レガシーは 0% のトラフィックになる。そこで初めて撤去。
[クライアント] ──▶ [ファサード/プロキシ] ──▶ [レガシー メインフレーム]
                       └──────────────────▶ [新マイクロサービス]
                                            (徐々にルーティング増)

長所:

短所:

Anti-corruption Layer (Eric Evans, DDD)

ドメイン駆動設計(DDD)のパターンのひとつ。レガシーと新システムの間に 翻訳レイヤ を挟む。

[新ドメインモデル]  ──▶  [Anti-corruption Layer]  ──▶  [レガシー モデル]
   (きれいなモデル)         (変換/マッピング/隔離)        (古いモデル)

目的:

Strangler Fig と Anti-corruption Layer は セットで使う。Strangler はルーティング・パターン、Anti-corruption はその裏側のドメインモデル保護装置。

実戦 — どこから始めるか

  1. 箱を描く — メインフレーム上のモジュールをドメイン単位でグループ化。
  2. 変更頻度 + リスク で優先順位 — よく変わる/リスクの高い部分から分離。
  3. 読み取りから分離 — 参照トラフィックを新 DB(リードレプリカ)に移すのが最も簡単。
  4. 書き込みは慎重に — デュアルライト(レガシー + 新)を経て、最後に新システムのみへ。
  5. モニタリングと観測 — 両システムの応答を比較(シャドー・トラフィック)。
  6. ロールバック計画 — 常に。

15章 · 韓国金融機関 — KB / 新韓 / ウリィ / ハナ / 企業銀行 / 農協のメインフレーム

韓国金融機関のメインフレーム運用は一部公開・一部推定だ。2024~2025 年の公開情報と業界推定に基づく一般像:

(以下は公知の業界知識に基づく整理であり、各銀行の正確なシステム構成は非公開が多い。推定が含まれる。)

大きな絵

銀行別の一般的流れ(公開報道・業界知識ベースの一般論)

銀行一般的流れ(業界知識)
KB 国民メインフレーム + 自社の次世代システム。クラウド移行を積極検討。
新韓メインフレーム運用。AI 連携に積極的。
ウリィ次世代システム事業進行中。
ハナ自社次世代システム + 一部メインフレーム。
IBK 企業メインフレーム運用。
NH 農協IBM Z 運用。規模上、韓国国内最大級のメインフレーム利用者のひとつ。

(注: 上記は公知の業界知識に基づく整理で、各銀行の正確な構成は非公開が多い。推定が含まれる。)

韓国のメインフレーム人材市場

韓国の非金融


16章 · 日本 — 三菱UFJ / SMBC / みずほ / NTT データ / Fujitsu BS2000

日本はメインフレームのもうひとつの拠点だ。そして韓国と異なり、日本自身のメインフレーム産業 がある(富士通、NEC、日立)。これが日本特有の事情を作る。

3 メガバンクの一般像

(公開資料・業界知識に基づく一般的な整理。正確なシステム構成は非公開が多い。)

銀行一般的流れ(業界知識)
三菱UFJ (MUFG)メインフレーム運用。2010 年代の大規模統合後は安定運用。
SMBC (三井住友)メインフレーム + 自社次世代。
みずほ2002・2011・2021 年のシステム障害で有名。以降は安定性確保に集中。

NTT データ

日本 SI 市場の中核。公共・金融基幹システムの構築・運用パートナー。NTT データはメインフレーム移行・運用受託を大規模に行う。

富士通 — 自社メインフレームを持つ

NEC ACOS

日立

日本の人材市場


17章 · COBOL を学ぶべき人は誰か — 金融 / 保険 / 政府 / 学術

2026 年に新しい言語を学ぶとして、COBOL は第一候補ではないだろう。だが 特定の人にとっては第一候補になり得る。誰がなぜ。

良い候補

あまり向かない候補

現実的な学習ルート

  1. GnuCOBOL を入れる — ローカルで COBOL をコンパイル・実行。
  2. COBOL の基礎IDENTIFICATION / ENVIRONMENT / DATA / PROCEDURE DIVISION。PIC 句。PERFORM。
  3. ファイル処理 — 順次・索引・相対ファイル。
  4. DB 連携 — Embedded SQL。
  5. JCL — メインフレーム環境でジョブをどう回すか。
  6. CICS の基礎 — トランザクション処理。
  7. メインフレーム環境の体験 — IBM Z Xplore / Master the Mainframe(名称・運営形態は時期により変動 — IBM 公式ページ確認)。
  8. 現代化ツール — Visual COBOL、watsonx Code Assistant for Z の体験/評価版。

時間投資

言語そのものは難しくない。環境 が難しい。それが参入障壁であり、同時に機会だ。


エピローグ — 巨人はゆっくり、非常にゆっくり動く

メインフレームは死なない。少なくとも 2030 年代半ばまでは。

時期出来事
2022.4IBM z16 発表(Telum I、耐量子暗号)
2023.8IBM watsonx Code Assistant for Z 発表
2022OpenText が Micro Focus 買収(Visual COBOL の新オーナー)
2022AWS Mainframe Modernization GA
2025.9IBM z17 発表(Telum II)
2026~AI 連携による現代化が本格的に広がる段階

全体像

次回予告

候補:

「古いコードはどこかで生きている。私たちはそれを殺すのではなく、隣にゆっくり育てた新しい木がいつか場所を引き継ぐようにする」— Strangler Fig という比喩そのものに従って。

— メインフレーム 2026、了。


参考 / References

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